立法趣旨と情熱
ストロベリー戦争
南原 詠 著
ある情報誌の選書において、おすすめされ,「弁理士」の仕事に興味を抱いた私は即座にポチッた。
ストーリーは、総合商社の、いちごの商標権侵害の警告書から始まる。
震災、復興の過程の中で、いちごに希望の光を見出しながら商品を育ててきた生産者が、ヒロイン弁理士と共に巨大な商社と闘う。
こう書いてしまうと、なんだか手垢の付き過ぎた陳腐な表現しかできない凡人のセンスの無さよ。
オビに、「このミス」大賞大賞受賞作家の最新作、とあります。
読み始めたら止まらない、本を閉じさせない、読後の爽快感まで愉しむことができました。
「完璧」なことや状態なんてない。
何処かに注力すれば、法的なことに限らず、客観的に、更に俯瞰して、かつ冷静に見ることはなかなかできないもの、当事者は特に。
ようやく「果実」を手に入れようとしたとき、理不尽な事態に直面し、掠め取られる屈辱を味わう。
法律職は、目の前にある事態に捕らわれてはいけない。
今、目の前にいる人が、自分のところに訪ねてくるまでの経緯と訪ねてこなければならなかった苦しさを聞き出す能力が求められる。
法律職は法律を知っているだけの人ではいけないのだ。
もうひとつ大事なこと、それは、立法の趣旨と例外をも深層に備えておくこと。
「まだ何かできることはないのか」
胃を鷲掴みにされるような、カラダ中が熱くなるような、全身で思考したそんなとき、やってみる価値があるという方法が出てくる時がある。
瞬間、浮かぶ手段は、経験上およそ間違ってはいない(時に「賭け」にもなるけど)人は必死に考えたら正解や最適解を掴める生き物であり、そんな人に協力したい・共に戦いたいという人達を引き寄せる。
法律に携わる者として大事なこと
基本に立ち返り、その周辺にまで意識を向けて学ぶこと、知りたいと思う気持ちを、そのままにしないこと、私の備忘録です
ミステリーとして楽しめただけでなく、自分の仕事のスタンス、学び方まで改めて考えることができた良本でした。
社労士・行政書士 かしむら