孤独に育つ子どもを減らしてゆくこと
我が子を虐待してしまう親とはなんなのだろう?
今,「親」であることには違いない私は,養育される年齢ではなくなっただけで,同時に「子」でもあります。
社会が,人生が,何もかもが,自分の「理想」「あるべき姿」からかけ離れていくとき,そして,現実は変え難いと心底思ったとき,唯一,コントロール・支配可能な子に感情を,狂気をぶつけてしまう。
振り返りたくない,幼少期の自分とその環境も大きく影響しているでしょう。
一番したくなかったことをしてしまう自分と向き合う苦しさ,そして,なぜそうしてしまうのか周囲から理解されない苦しさ。
この書籍は,親も子も孤独にしてはけないと訴えます。
孤独に育つ子供,孤独に生きる親を,いかに減らしていくかが,虐待を防いでゆくことになると。
人とかかわることは,とてもエネルギーを必要とし,様々な困難を抱える常態は,人から気力や考える力を奪う。
人を信じる力を育てるには,実際に人とかかわることが不可欠で,人とかかわって安心する,助かったという体験を重ね,それでようやく人とかかわる力がでてくるのだと。
その状況になるまでに,とてつもない時間が必要ということは,私でも想像できます。
そして,愛着形成は赤の他人でも丁寧にかかわることでできると説きます。そもそも,昔は共同体の中で,そのように命が育まれていたのだからとも。
ある種の作られたストーリーに乗せられ,批難することだけでは何も変わらない。
子育ての環境は,ここ数十年で大きく変化しています。家庭環境も社会も大きく変わりました。経験の押し付けではない,おのおのの大人の力,子供の力を信じながら,かつ生活圏の中で他人の見守り隊が必要です。本人の生きづらさ,困難さを,時に傍らで,時に少し後方から,支援し続ける他人が。
私たちの社会は,私たちが作ってゆく
時に,いくつかの悪条件が重なったとしても,乗り切っていける,関係性や小さなコミュニティが求められていると感じました。
私がお役に立てるその時のために,心と思考の準備運動をして備えておきたいと思います。
児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか (朝日新書) /杉山 春 (著)
社労士・行政書士 かしむら