世代間の格差
『上野先生,勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください』
上野千鶴子 古市憲寿 著 (光文社新書)
先日,上記の本を読みました。
私たちも,遺言や成年後見などの仕事に携わっているので
うすうす感じていたのですが,
現在の高齢者のストックとフロー
若者世代のストックとフロー
当然ですが,全然違うのです。
経済成長とともに,財を蓄え,生活は慎ましい高齢者。
一方,正社員になれない非正規雇用が増え,収入の安定が見えないが
必需となった携帯電話など余分な通信費が必ず出ていく20代から30代。
家族の介護の負担を軽減すべく,介護施設やサービスがかなり充実していて
家族にとっては,ありがたいことなのに,
介護を受ける親のストックが減っていくことに不安を感じる若者。
そのような子どもは,親の介護などできるのだろうか。
親のストックに勝手に手をだし,経済的虐待がおこることもある。
介護という名のもと,親を囲い込み,実際は世話をしないこともある。
自分たちの生活でさえ苦しいのだから,親の世話はなるだけ見たくない。
だけど,親のストックが減っていくのは不安。
親のストックをあてにしている。
親世代にしがみついている若者は,どう自立すべきなのか。
そのようなことを考えさせてくれる良書でした。
司法書士 かしむら