親の世話をすると,相続分は増えるのか
=====================================
相続人のひとりが親と同居し,面倒をみていると,そのひとの相続分は増えるのでしょうか?
=====================================
「そりゃ,面倒見た者が多くもらわないと損でしょ。」
「長年同居していると,その分家賃を支払わなくていいんだから,世話をしている=損という考えはできなのではないか?」
「実家が相続において分割の対象となったら,住む場所を失ってしまう・・。」
民法904条の2には「寄与分」という規定があります。
これは,療養看護により,財産の維持又は増加について特別の寄与をしものがあるとき,その寄与分が認められ,相続財産から控除して,寄与した者の相続分に寄与分を加えるというものです。
「特別の」寄与ですから,単に同居していただけでは,寄与分は認められません。認知症になっても,訪問介護や通所介護など利用せず,献身的に在宅で世話をしていた場合などで認められるようです。
また,居住の利益については,これを認めている裁判例もありますが,数多くあるものではりませんので,ケースバイケースといえます。
本件の場合,親は,「子供たちは争いごとはしないだろう」と楽観視しているケースが多く見られますが,世話をしてくれた子ども,同居の子の暮らしを守ってあげるためには,遺留分を配慮した遺言書を作成することはともて大切になってきます。