医療・介護と法律と
不安や悩みを解決するための手段はどんなものがあるでしょうか。
たとえば,病気であれば,医学的治療法に基づいて。
たとえば,法律問題であれば,法律に基づいて。
それぞれに分野の専門家により解決を図るのが,解決への近道なのでしょうが,科学や法律に基づくマニュアル(規範)を用いた解決に対して,感情的に不満をもたれた方も多いのではないでしょうか。
「冷たいような気がした。」
「話を全部聞いてくれなかった。」
「まるで私が悪いことをしたかのような扱いだった。」
これは,その専門家が,冷静に,客観的に,分析的に見て,その問題を説明をし,解決を図ろうとしていると考えられます。
もちろん,医療にしろ,法律にしろ,そこに携わる者は,個々の事案に応じて,話しやすい雰囲気を作り,最善の策を探しているものですが,人の感情は,結果によっても随分違います。たとえ,親身になって相談にのっても,訴訟で敗訴した場合は,納得いかないでしょうし,冷たく感じても,訴訟で勝訴した場合は,あれでよかったんだと思えるでしょう。結果が伴う事案は,「寄り添い」を正しく評価することが難しいと言えます。
これからの専門家に求められること
医療や福祉の現場では,患者さんに対し,「援助」を目的として,その人の生活や背景要因,人格形成に直接関わり,ご本人さんの不安や希望を「共感的理解」し「援助」をすることが,看護師などの従事者に強く求められていると思います。
司法書士や行政書士は,どちらかといいますと,将来のトラブルを軽減する「予防」法務という分野の専門家です。相談者の悩みを理解し,その予防の策を支援することは,看護師と同様なのかもしれません。専門知識について研鑽し,適切なアドバイスをすることのみならず,相談者のニーズを明確にし,より包括的・継続的支援,ご要望があればご自宅や入院先に伺うような,より利便性のよい支援が,この徳之島,沖永良部では求められているように感じます。
司法書士 かしむら