法定相続分の預貯金の払戻しーゆうちょ銀行編
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事 例
夫の預金払い戻し(ご夫婦の間にご子息がいらっしゃらないケース)
相続人 : 妻 夫の兄弟 夫の兄弟の子(甥・姪)
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ご夫婦の間にご子息は無く、夫の両親も既になくなっている場合、相続人である妻は夫名義の不動産や預貯金の名義の変更をすることが簡単ではありません。
夫の兄弟と親交があればまだよい方で、更にその兄弟のご子息(甥・姪)となると、なかなか普段の交流はないことが多いようです。
普段から交流があっても、皆で集まって、妻が全て相続するという遺産分割協議をし、印鑑証明書を全ての方から戴くのはなかなか骨の折れる作業となります。
また、たった一人でもご同意いただけなかったり、ご連絡がつかない方がおられるような場合には、手続が頓挫してしまいます。こうなると預貯金が凍結されたままで、残された妻の生活もままならなくなります。
★予防策としては、
「夫が、あとに残される妻の為に公正証書遺言を作成しておくこと」
なのでしょうが、そのようなケースは稀です。
現在、各金融機関では、事例の場合、妻の相続分のみの払戻しの手続に応じて頂くのは難しく、裁判等により確定判決を得たうえで払戻しに応じているようです。
本来であれば、預金は可分債権ですから、相続開始と同時に分けられるものであるはずですが、金融機関側が、相続人間の争いや二重払いを避ける為に、実際にはすべての相続人から同意を得るかたちでしか払戻しに応じて頂けません。
さて、今回の ゆうちょ銀行 ですが、
この妻の相続分が戸籍等により確認できれば、ゆうちょ銀行への申立により相続分 のみの払戻しに応じて頂けます!!
もちろん、各相続人にはゆうちょ銀行から「被相続人(亡夫)の妻から、法定相続分の払戻しの申立てがある」旨の通知とそれに対する同意・不同意の申出の書面が届きますが、特に問題のあるケースでなければ、一般的には妻は他の相続人と接することなく法定相続分は払い戻されることになります。
ご本人の正当な権利が、簡便な手続で守られる金融機関は、まだまだ多くはありませんが、このような合理的な手続は残された相続人に過度の負担を強いないシステムとして浸透して欲しいと深く思います。
当事務所では、預金払戻について、ご依頼があれば、煩雑な手続きのすべてをサポートを致します。ご高齢の方、お仕事でお忙しい方等、お気軽にお問合せ下さい。
行政書士 渡邊満智代