私たちを抜きに融資を決めないで!
司法書士の柏村です。
今回は,「事業承継」に関連して,奄美の地域で司法書士ができることを検討してみます。
司法書士の日々の業務で感じていること,それは奄美という地域の相続登記手続では「対象物件数が多い」案件の割合が比較的多いなあ、と思うこと。多い方で,申請物件が70件以上があったこともあります。会社の社長さんとかではなくても,お仕事に関係なくいらっしゃいます、そういう方。
事業承継という事例でいえば,先代は会社所有や本人の所有の不動産を多く所有しているが,引き継ぐ者が,その不動産がどこにあるのかさえ知らないという状況が間々あるのです。
つまり事業承継という手続を避けられない状況の中,金融機関も,それを承継する者も,不動産の状況について,漠然と管理をし,漫然とその時を迎えてしまうのです。
たしかに会社の業績は,財務諸表などで評価され,不動産も会計上は財産として評価されます。
金融機関も,融資を行なう際には,担保価値としての不動産を評価しています。
しかし,現地そのものを確認・評価(将来性,運用活用性)することなく,単に机上の評価や地図(図面)確認又は過去の価値観のみで管理していることは,非常に怖いことです。
不動産は活用次第(新たなプランの模索)で,その価値は変わってくるものです。
会計上は評価があっても,現物はそこまでない不動産(リフォームに不向き,買手を選ぶ物件)。会計上は評価がなくても,活用によっては価値ある不動産(近隣事業者の事業拡大等による利用)など様々です。
そこで,事業承継にあたって,司法書士が提案できること。
それは,不動産のデューデリジェンス(不動産を詳細に調査すること。以下「不動産DD」といいます)です。
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1 不動産の場所,現状を把握する。(先代・現所有者からのヒアリング・関係性の構築)
2 不動産を評価する。(不動産仲介業者等からのヒアリングで,司法書士が評価する(価額だけではない,担保状況,市場ニーズも踏まえた評価)。)
3 不動産の活用(プランに応じた必要融資額や活用による利益の算出)を提案する。(例:活用プランを2~3パターン提示する)
4 1~3について報告書をまとめ,先代(創業者),金融機関,引き継ぐものが,情報を共有する。これがあることで次のステージへ動き出せます。
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不動産DDは,社長さんが会社の将来を考えるキッカケになるはずです。遺言の作成にもつながるかもしれいないし,後継者探しや,(積極的な)空き地,空き家の活用に繋がる第一歩だと思います。
金融機関は,司法書士による不動産DDをどうみるでしょう。
不動産の評価を現場(地域密着の)司法書士が行なうことで,税理士の評価では判明しない,「今・今後活かせる資産」としての評価を得られます。融資の検討材料につながりますし,不測の事態にも対応が可能となります。
会社への安心感,信頼感にもつながり,追加融資や利率の引き下げなどサービスの展開幅が生まれるのではないでしょうか。
先代(創業者),承継者は,
不動産,その全ての概要を明らかにする(見える化)ことで,「今しておくべき手続き」が明確になります。「今」動かないことによる不利益が白日のもととなります。(銀行サイドに,不動産の全てをみせることを嫌がる経営者もおりますが,事業の継続性を望めば現実的に必要な手続きになるはずです。
奄美地方では,士業,金融機関,不動産仲介業者がリンクし,地方創生の共同体になる,その時期がきているのだと考えています。
そして,司法書士は不動産のデューデリジェンス(不動産の詳細調査)の担い手として,奄美の不動産に関して精通していくべきだと思います。
「奄美の事業承継パッケージ」~事業者・金融機関・税理士・司法書士・不動産仲介業者による行動計画~
奄美のこれからを「もっと楽しく」
できることは限りなくある。
皆で知恵を出し合えば。