一切の責任をとる!
司法書士の柏村です。
念書や始末書などによく使われるコトバ。
「私において一切の責任を負い,貴殿には一切ご迷惑をお掛け致しません。」
まるで伝家の宝刀のような,強い文言です。
この言葉さえ差し入れさせておけば,
本当に責任をとらせることができるのでしょうか?
たとえば,社員がミスをおかし,始末書を差し入れます。
「同じようなミスをした場合は,私において責任を負います。」
そして,またミスをしてしまったら,
社長は「よっしゃ。解雇や!」と宣告・・・
しかし,本来,解雇事由なんかは就業規則に定められているし,たとえ,定められていても,その解雇が客観的い合理的な理由がなく,社会通念上相当とみなされてない場合は権利の濫用として無効となります。(労働契約法16条)
では,あの「責任を負う・・」って,なんなのでしょうか?
問題が起こった場合,あくまで法律や契約,就業規則に従い,損害賠償や解雇の対象となることを覚悟してます~ということを述べたにすぎない。また,トラブルを排除するために協力します~と述べたにすぎないと考えるのが一般的です。
個々の事案にもよるでしょうが,一般的な誓約書や始末書によくあるこの文言は,一方的な処分(契約解除や解雇)を受け入れ,損害は自力ですべてを排除し,その賠償するといった法的な義務を創設したものとではないと思います。
だから,契約書(差し入れ方式ではなく,当事者の合意で作る)で,トラブルやミスを起こした場合に,どう対処できるのか,具体的に明確に定めておくことが大切になってきます。
司法書士 かしむら