Do the right thing~正義は何処
【読書感想】
決戦!株主総会
ドキュメント
LIXIL死闘の8カ月
秋場大輔 著
会社法
(趣旨)
第一条 会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
経営は自由だが,シバリもある世界。
遠い昔、受けた行政書士試験、会社法は試験科目でした。
そんな大会社に勤務したこともない私には,まるでドラマのような展開の書籍でした。
最上階のとんでもなく広い会議室で起こる事件。
偉い人の上には更に偉い人がいて、その人たちが集まって,色々決めるけど派閥があってドロドロの世界。
一応暴走しないように監督する機関もある…監査役,社外取締役。
受験生だった私は、妄想程度で、深入りしない合格するためのポイントだけ摘まんだ学習をしたくらい。
時は経ち、ドラマ程ではないにしろ「役員会」「理事会」など,会当日の報告やら、採決、承認より、前日までの資料作りや、提案の準備(主にスケジュール調整)をするようになりました。そして,会終了後も行政機関への事後対応等に追われてます。
ですから、メインのお話も非常に面白かったのですが、著書には書かれていない方々の奮闘に思いを馳せながら一気に読みました。
会社は多くの方の日々の仕事の上に成り立っている。
その日々の仕事に報いる判断をしなくてはならない。
決して、役職者のメリットや私欲が優先される世界であってはならない。
今回、随所で取り上げられていた社外取締役は,責任の範囲はある程度の限定はあるものの,客観的視点により企業経営のチェック機能を果たすのが主な役割,つまり本来、相応の能力や人格が土台にあって,発揮される機能なのです。
ただ、現実はそのような人選ができる会社は少なく,そんな人選を貫けるほど社会も人も成熟していない。
「それは理想だよね」
ひとつのドラマ、私もそう思って読み進めていましたが,あとがきにおいて、その後の会社の「理想に終わらせない」ための改革が今なお進行していることが書かれていました。
ガバナンス改革は難しい。
より良いものにと思えば、永遠に完成しない。
5年・10年と遠くに会社の「ありたい姿」を置いて,まだやれることはあると常に今できることをしていくこと。
過去の間違いを忘れず、同じ方向を向く仲間を増やしながら。
「このぐらいでいいか」
誰しもが思うこの気持ち。
真正面から正義を貫くことは,難しい。
いっそ,孫悟空のように,ワクワクを楽しみながら敵と戦うような,別次元のモチベーションが必要なのかもしれませんね。
司法書士や行政書士の受験後の気分転換におススメの書籍でした。
社労士・行政書士 かしむら