未来のためにできること
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実践調停 面会交流
子どもの気持ちに寄り添う調停実務
片岡武 他2 著
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争いの渦中で(というか金輪際),相手方に大切な子を会わせたくない,
これ以上傷つけて欲しくない,私も子供も。
子の年齢で程度の差こそあれ、同居親に過分に気を遣う。子の本当の気持ちは、子にさえわからないうちに、それが「本心」を形成し、意思の固定化が行われてしまう。
絡まる思いを、調査官や裁判官、調停委員らが、丁寧に紐解く実践本。
調査官が面会交流が必要な理由を挙げています。
1 自身のルーツを求める性があるということ
自分のルーツを知ることは人間にとってとても重要なことで、それを実感するための機会であるから「至らない別居親」であっても、親として十分な役割を果たせない人でも、子供自身が自分の体験の中で別居親の至らなさを知ることが重要である。
親を嫌う機会や、親を捨てる機会を奪ってはいけない。こども自らの力で、関係性を形成していく、それまでの間交流を継続できる環境を整えてあげるのが同居親の「責務」である。
2 別居親のイメージ回復の先にあること
別居親=「ひどい人」のままでは、子供自身の半分は、ずっとひどい人だと思い続けてしまう。常に自分の半分を否定し続ける苦しさから抜け出せない。それでは自分を大切にできず、他者を大切にもできない。
同居親も別居親も親である。子の福祉に沿うとは,離れるからこそ、どんな経緯があったとしても、これからの子の長い人生を思い、理性で自分を支え、子の最善に努めなければならない。
嫌いだから二度と会わない…大人はそれでいいかもしれません。
でも、双方の親に、子の豊かな未来を約束する気持ちは、今後も失わないでいて欲しい、そう願っています。
父として、母として、大人な振る舞いを。
大変な時こそ、親としての振る舞いを心掛けてほしい。
子の切なさと、父母として、親として、一人の人間としての葛藤が、痛いほど想像できる実務書でした。
社労士・行政書士 かしむら